10月10日は「目の愛護デー」ですね。毎日、使っている大切な目ですけれども、問題がなければ目のありがたさに気がつかないかもしれません。調子が悪くなって、初めて目の重要さに気がつくこともあるかと思います。
高校生の皆さんの中には、コンタクトレンズを使っている方もいらっしゃるかと思いますが、コンタクトレンズで目にトラブルを起こしてしまう方が多く見受けられます。コンタクトレンズでトラブルを起こさないように、コンタクトレンズとの正しい付き合い方についてお話しさせてください。
まず初めてコンタクトレンズを使いたいという方に、どうやってコンタクトレンズを作るのが正しいのかからご説明します。初めてコンタクトレンズを作りたい方は、眼科を受診してください。眼科に限らず、病院にかかったら、まず最初に問診表の記入をお願いしています。コンタクトレンズのご希望を聞きますが、その方の目の状態を総合して、一番適していると思うコンタクトレンズをお勧めするために、詳しく聞いていきます。「どのような時にコンタクトレンズを使う予定ですか?」例えば、常に使いたい、授業中に使いたい、クラブ活動の時に使いたいなどです。「どれくらいの頻度で使いたいですか?」例えば、毎日、週に5日くらい、週末のみなどです。「コンタクトレンズに対する希望はありますか?」例えば、1日使い捨てソフトレンズ希望、2週間定期交換ソフトレンズ希望、ハードレンズ希望、分からないので相談したいなどです。「今までに言われたことがある目の病気はありますか?」例えば、ドライアイ、アレルギー性結膜炎、アトピーなどです。
問診表でコンタクトレンズの希望を確認した後に、目の検査を行います。希望がソフトレンズでも、近視の度数が強い方、乱視の度数が強い方には、ハードレンズをお勧めする場合もありますし、アレルギーをお持ちの方には、1日使い捨てソフトレンズをお勧めする場合もあります。
そして使っているメガネの度数が合っているかの確認をします。
さらに初めての方には、目薬を入れて調節力を取った目の度数を調べて、さらに眼底検査をして目に病気が隠されていないかを調べます。
メガネの度数が合っていない場合は、次回にメガネ合わせも行っています。
そして目に問題がない場合は、コンタクトレンズ合わせは二回目の受診の時になります。
ここまで初めてのコンタクトレンズについて、問診から検査まで説明しましたが「そんなに面倒くさいの?チャッチャッと合わせてくれればいいのに」と思われた方も、いらっしゃるかもしれません。コンタクトレンズが初めての方にどうして詳しく検査するのかの理由について、説明したいと思います。
私のコンタクトレンズに対する考え方は「あくまでも目にとっては異物であり、きちんと使用しなければ、目に害を及ぼす危険性のあるもの」ですが、「きちんと使用すれば安全であり、視力の悪い人にとって非常に便利でありがたいもの」というものです。コンタクトレンズを使用する方に強調したいことは「コンタクトレンズはメガネと併用しましょう」ということです。コンタクトレンズは一日中付けたままではなく、起きている間にメガネをかけて、目に酸素を充分に送る時間がどうしても必要です。また、目にトラブルが起きた際も必ずコンタクトレンズを外して、メガネを掛けていなくてはいけません。他の眼科さんでメガネが無いのにコンタクトレンズを作成し、長時間コンタクトレンズを付けて目にトラブルを起こしてから、当クリニックを受診される方も時々見受けられます。そんなことにならないように、メガネも適した状態で使っていただきたいと思っていますので、メガネがキチンと合っていない場合は、メガネを調整したあとにコンタクトレンズを合わせるようにしています。コンタクトレンズは処方して終わりではなく、使うご本人がしっかりとしたレンズケアをしながら検診を受けてもらい、問題が起きていないかを確認しながら使って行く医療機器です。せっかく便利なコンタクトレンズで、逆に目に病気を起こしてしまっては元も子もありません。調子が良いからと言って定期検査を受けないと、目にトラブルが起きることがあります。コンタクトレンズの使用はあくまでも自己責任ですが、未然に防ぐことが出来るようにすることが私ども眼科医の使命だと考えます。ですので当クリニックでは「処方して終わり」という処方箋のみの発行も、ご遠慮いただいています。眼科医として目を守るため、どうしても必要なことですのでご理解いただけますようお願いします。
コンタクトレンズをすでに使っている方は、コンタクトレンズとの正しい付き合い方を再確認してください。コンタクトレンズは、黒目(角膜と言います)に直接のせるものですから、黒目に必要な栄養である酸素が、どうしても少なくなってしまいます。黒目が一生キレイに透明でいられるためには、黒目に十分な量の酸素が届いていることが必要です。黒目に十分な量の酸素がいかない原因として、コンタクトレンズの誤った使用が考えられています。
コンタクトレンズの誤った使用とは 「コンタクトレンズを長い時間つけている」 「コンタクトレンズをきちんと洗っていない」 「コンタクトレンズをつけたまま眠ってしまう」 「コンタクトレンズの使用期限を超えて使っている」 「コンタクトレンズのみでメガネを使っていない」 「眼科でコンタクトレンズ検診を受けていない」 「ネットでコンタクトレンズを購入して、そもそもレンズが目にきちんと合っていない」
などです。
このような誤った使い方をしていますと、黒目に十分な酸素がいかず、栄養失調の状態になってしまいますから、普段はやられないはずの細菌に感染したり、ヒドい場合にはアメーバに感染したりと、栄養失調状態では抵抗力が落ちますから、感染症にかかるリスクが高くなると言わざるを得ません。黒目が感染症にかかりますと、それが治ったとしても黒目に白濁が残ることがあります。黒目の白濁が瞳の真ん中に残ってしまいますと、視力が下がります。その下がった視力はメガネをかけても、メガネの度数を上げても、コンタクトレンズの度数を上げても、上げられないことになります。黒目はレンズの働きをしていますので、透明性を維持することが大切なのです。黒目の健康を守るため、コンタクトレンズが正しく使ってください。
「目の愛護デー」に寄せて、大切な目を便利なコンタクトレンズで傷つけないように、眼科で検診を受けてくださいね。
Comments